今日のお蚕
育ってます。
この砂みたいなものはお蚕の糞です。
江戸時代の養蚕書を読むと、お蚕の世話をする人のことを蚕母(さんぼ)と呼んでいます。女性の仕事だったからでしょう。そういえば祖母の家でも祖父は一番忙しい時期の桑取りを手伝うくらいで、ほかのことはみんな祖母がやってました。
あまりにも昔のことなのでうろおぼえですが、祖母は養蚕をしない家からお嫁に来たようなことを言ってたかもしれません。最初はお蚕さんがこわくてさわれなかったと……いや、もしかすると別の人から聞いた話がまざっているかもしれませんが。
最初は気持ち悪くてさわれなくても、世話をしているうちになぜかかわいいと思うようになるんだよって。やっぱり祖母から聞いたような気がします。まるまる太ったお蚕を手のひらにのせて、そんな話をしてくれたと思います。
わたしは幼児のころからお蚕わしづかみでしたから、お蚕が恐いとか言われても、そんなものなのかなあと、かえって変な気持ちでした。