趣味の盆蚕

「しゅみのぼんかいこ」とは、盆栽を楽しむように小規模に養蚕を楽しむという意味で、ブログ筆者の造語です。略称は「ぼんさん」

お蚕は本当にクワしか食べないのか?

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クワの葉のいろいろ

 この写真は、わたしがある日、お蚕にくれるために「クワ」だと思って色んな場所でとってきたものです。ちなみにお蚕は全てを喜んで食べました。

 ただ、写真では見分けがつかなのですが、ひとつだけ手でさわってみると裏側がビロードのような手触りの葉っぱが混ざっていました。クワ科植物の見分け方を調べると、どうもそのビロードみたいなやつは「カジノキ」というクワ科の別の植物かもしれないです。

 日本の公園や道端、河原なんかに自生しているクワ科植物は、

  • クワ科
    • クワ属
      • ヤマグワ
      • マグワ(ヤマグワの栽培品種だと言われてる)
      • その他クワ属の園芸品種いろいろ
    • コウゾ属
      • カジノキ
      • ヒメコウゾ
      • コウゾ(カジノキとヒメコウゾの雑種)
    • イチジク属
      • イチジク

…あたりじゃないかと思うんです。あ、小笠原とか沖縄とかの南洋の島々は本州のような温帯とは植生が違うのでちょっとわからないですけどね。

 これらのうち、イチジクは葉っぱの質感が形がまるっきり違うのでクワと見まごうことはないんですが。カジノキとヒメコウゾあたりは葉っぱの形がクワのバリエーションにしか見えないので、パッと見では見分けがつかないことが多いです。

 しいて違いをあげると、カジノキは葉の裏側がビロードのような手触りで、ヒメコウゾは葉柄が異常に短いです。あと、花や実がついてるとそれぞれ形が違うので見分けられる場合もあります。

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たぶんヒメコウゾ(葉柄がすごく短いのでクワではない)

 ヒメコウゾの若い木は葉に深い切れ込みがあって、特徴的な形をしてる場合が多い。こんな特殊な形をしてるなら一目で見分けがつくんじゃないかと思いがちですが、ヒメコウゾもクワも葉の形にバリエーションが多くて、そう一筋縄ではいかないんです。

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これは葉柄が長いのでたぶんクワ

 上の写真も葉に深い切れ込みがあって、これが本当にクワなのかしらと疑わしく思ったりするんですが、葉柄(茎と葉の間にある「柄」の部分ですね)が、しっかりと長いのでクワだと思います。

 今まで「お蚕が喜べばすべてクワ」と納得していたのですが、今回は「手触りがビロードならカジノキ」「葉柄が短ければヒメコウゾ」「それ以外がクワ」「あとイチジク」の四種類を見分けて与えてみました。

クワ(クワ科クワ属)
 当然食べる。

カジノキ(クワ科コウゾ属)
 喜んで食べる。というか、今までクワだと思い込んで与えていた葉っぱがかなりの確率でカジノキだった。

ヒメコウゾ(クワ科コウゾ属)
 喜んで食べる。これも今までクワだと思い込んで与えていたものの中にけっこうまざってた。

イチジク(クワ科イチジク属)
 食べないことはないが、それほど好きではないらしい。全然食べないこともある。

 このような結果になりました。カジノキ、ヒメコウゾはなんの心配もなくモリモリ食べます。お蚕はクワ科ならクワじゃなくても食べるのかも知れない?!

 しかし、同じクワ科でもイチジクは条件付きです。過去に何度かお蚕にイチジクを与えてみたことがあるんですが、「まったく食べない」こともあれば、「与えた直後はものすごい勢いで食べ始めるが、途中で飽きて食い残す」こともあったし、「クワ同様喜んで食べる」場合もありました。なので、イチジクは△です。食べなくはないが、そんなに好きじゃなさそう。

 ただし、イチジクはクワほど大量に摘んでこられないので、卵から成虫になるまでイチジクだけで育てる実験はしたことがありません。広い庭でもあったらイチジクを植えてみるんですけどねえ。

 そんなわけで、実験の結果としては「お蚕はクワ科の植物だとなんでも食べる可能性がある(ただしイチジクは条件付き)」でした。