たかの休み(二回目の脱皮)
そろそろ二度目の脱皮です。たかの休みというやつです。「たか」は鷹という漢字をあてたり、竹と言ったりもします。群馬では竹箒を「たかぼうき」と発音する人がいたし、竹休みと書いても「たかやすみ」と発音したかもしれません。http://okaiko.hatenablog.com/entry/2012/10/31/113319
お蚕さんが脱皮中に死んだように動かなくなることを「休み」とか「眠(みん)」とか言います。四回の休みには「獅子」「鷹(または竹)」「舟」「庭」と名前がついています。それはお蚕さんの守り神であるお姫さまの伝説と関係していますが、それについては上記のURLを読んでみてください。
この頭が黒いのは脱皮前のお蚕さん。
頭が白くなっているのは脱皮後のお蚕さん。
孵化がいっせいにおこらなかった時は脱皮もいっせいには終わらず、成長にばらつきが出ます。そういう時はあるていど脱皮が終わるまで餌やりをひかえると良いそうですが、どのくらい絶食させていいかは悩みどころです。
それは昔の人もみんな悩んでいたようで、江戸時代に信州のマイタ村の人が書いた『養蚕重宝記』という養蚕指南書にも、
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四度のやすみまで上ゝ蚕、桑つけのしそんじにて五分のあたりなり。此桑づけのしそんじと申は蚕そろひたく桑くれる事手おくれになり蚕母の心え違ひなり。
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と書いてあります(意味がわかるように句読点を挿入して一部を漢字になおしました)。四度目の脱皮までうまく育っていた蚕が半数ほどだめになってしまうのは「蚕の成長を揃えたいと思うあまり桑くれが手遅れになったせい」だってことです。じゃあ、どのタイミングで与えればいいかは、この本にも書かれていないのですが、江戸時代の人も同じように悩んだと思うと、数百年の時を越えてやっと話の分かる人にめぐりあえた気持ちになります。
うちのお蚕さんには夕方になったら桑をやろうかと思っています。