趣味の盆蚕

「しゅみのぼんかいこ」とは、盆栽を楽しむように小規模に養蚕を楽しむという意味で、ブログ筆者の造語です。略称は「ぼんさん」

9月16日:繭かき、繭のいろいろ

 

 蔟から繭をはずすことを「繭かき」といいます。

 祖母の家には区画簇から繭を押し出すための、太い歯のついた櫛みたいな道具がありましたが、趣味でやってるわたしはそんな専用品を持っていないので手ではずします。

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 繭かきをするタイミングは、上蔟から5日〜1週間目くらいだと思います。あまりすぐやると、中できちんと蛹になっていないことがありますし、遅すぎると羽化して出てきてしまいます。

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 今回の品種は「ぐんま黄金」です。美しい黄金色の繭になりました。繭を振ると、中で蛹がコロコロといい音を立てます。

 

 このままほうっておくと羽化してしまうので、繭を保存するためには中の蛹を殺してしまわなければなりません。

 今まで大事に餌をやって育てたのにこの瞬間に手にかけて殺さなければならないのが納得できず、殺さずに糸を取る方法はないのかと子供の頃に何度か駄々をこねたことがあります。

 しかしお蚕はペットではなく家畜です。ケモノじゃないので畜ではなく家蟲かもしれませんけど、とにかく農産物ですから、収穫するところまでやってこそ輝く命なんだと思います。

 農家では繭を熱処理して蛹を殺すそうですが、家庭ではそれが難しいので、冷凍庫に一晩くらい入れておきます。冷蔵庫ではなく、冷凍庫です。完全に凍らないと死にませんから注意が必要です。

 わたしは糸をとるまで冷凍庫で保管していますが、蛹が死ねば冷凍庫から出しても大丈夫です。晴れた日に干して蛹を完全に乾燥させれば何年も保存できます。

 

 ところで繭の色や形はお蚕の品種によりさまざまです。

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 この写真は、左から緋紅、新小石丸の二世、芙蓉つくばね、都浅黄です。都浅黄も黄色いですけど、ぐんま黄金にくらべると淡くてレモン色ですね。

 形や大きさの違いにも注目したいところです。緋紅は小さくてやや細長い繭です。新小石丸は小振りで真ん中がくびれています。芙蓉つくばねはくびれのない俵型、などなど…