お蚕の病気
お蚕も病気になります。一齢〜四齢まではそれほどでもないのですが、五齢になってからは気をつけていないと病気で全滅なんてこともありえます。
病気は養蚕を趣味にする上ではさけてとおれないことなので書きますが、見慣れていない人にとってはきもちの悪い写真が多いので、いちおう覚悟してから見てください。
黒くなってとけてしまう病気
この病気は五齢になって二日目くらいから出ることが多いです。わたしの経験だと、お蚕が蒸れた時に発生することが多いです。
直前まで餌をたべていた蚕が、突然上のように胸のあたり(顔みたいな模様があるところ)がぱんぱんにふくれて黒く染みて死んでしまいます。
数時間後には上のように全身が染みて、べしゃっと溶けたようになります。
この写真みたいに全身真っ黒になったりもします。この黒くなった蚕は死んでるのに気付かず放置してしまったもので、つつくとペーストのような状態でした。においはそれほどありません(大量に死ぬと悪臭が出るかもしれません)。
お蚕の病気についてはあまり詳しく書いてある本がなく、正式に何病というかはよくわかりません。1頭出ると次々に発病して死ぬことがあるので伝染病である可能性があります。
最初にも書きましたがお蚕が蒸れると発病しやすいので、五齢になったら風通しをよくして、かわかしぎみに管理しないといけません。糞をこまめに片づけるのも大事です(糞自体が湿っているので蒸れるのです)。
また、発病した蚕はすぐに取り除く必要があります。もし伝染病ならば、ほかの蚕に移って全滅するかもしれません。
福島県の桑折(こおり)という地方の養蚕を記録した本に「体が真っ黒になってとける」「五齢期になって、もう二三日で上蔟という時に、突然体がやわらかくなってばたばたと倒れる」病気としてながれこ(あるいは軟化病・卒倒病)というのがありました。本には写真がなかったので同定しにくいところですが、同じ病気のような気がします。この本には蚕が多食になると起こると書いてありました。
体が縮んで死ぬ病気
これも原因や正式な病名はわかりません。上の写真のように縮んで死ぬ病気です。上の写真は五齢期のもので、体がすけてきて、ずぅ(熟蚕)になるそぶりをみせているのに糸をはかず、いつまでも歩き回り、だんだん体が縮んできて、やがて死にました。
この病気は五齢だけでなく、三齢や四齢の脱皮前か脱皮後にも出るような気がします。体の変化がうまく進まずに死ぬような印象です(実際どうなのかよくわかりませんが)。
前述の本で「起縮み」「よどまず」と呼ばれている病気がこれにあたるような気がします。
ほかにも蚕の病気は沢山あるようですが、自分で飼っていてよく見るのは上記の病気です。