趣味の盆蚕

「しゅみのぼんかいこ」とは、盆栽を楽しむように小規模に養蚕を楽しむという意味で、ブログ筆者の造語です。略称は「ぼんさん」

繭をあけて中の様子をみてみよう

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 お蚕は、まず粗く糸を張りめぐらします。それから、粗い糸の中に繭を作りはじめます。十分に繭が厚くなると、中で脱皮して蛹になります。

 

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 簇(まぶし)からはずしてみました。繭のまわりの粗い糸は毳(けば)と呼ばれていて、これがついたままではうまく糸をつむげないので、農家では毳をきれいにむいてしまいます。沢山むくので毳をむくための機械もあります。

 

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 もちろん手でむくこともできます。このとおり、つるっとむけるので面白いですよ。毳も捨てずにとっておけば、毛糸にしたり、クッションに詰めたり、いろいろ使えます。

 

 健康な繭は指でおしても簡単には潰れないくらいしっかりしています。でも、幼虫の時期に餌が少なかったり、何かの病気にかかっていたりすると、ペコペコへこんでしまう薄い繭になってしまいます。

 

 わたしはあくまで趣味で飼っているので出来そこないも自然のなりわいだと思うことにしていますが、養蚕農家ではなるべく良い繭を取るために、さまざまな工夫をします。たとえば、蚕を飼う部屋の温度を管理したり、餌の量に気を使ったり。

 

 江戸時代の養蚕書を読むと昔の人が本当にお蚕の世話に気をつかっていたことがわかります。養蚕をする間は、世話をする女の人がお蚕に専念できるよう、普段の仕事を少なくしなければならないし、化粧すらしてはいけないって書いてあるんですよ。身なりに気をつかっている暇にお蚕を見てやれというわけです。果ては家に不幸があってもいけないと書いてあります。お蚕が神様から与えられた神聖な虫だから、と説明されてることが多いですが、おそらく家がごたごたしていると、お蚕の世話がおろそかになるので、養蚕をしている間は家内安全を心がけないといけない、ということだと思います。

 

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 繭をいくつかあけてみました(写真がたまたま白い繭ばっかりですが、最初の写真と同じく元ぐんま黄金ちゃんです。二代目なので白い繭も出来てしまったのです)。右手前はすっかり蛹になっていますが、左奥はまだ幼虫のまま体がちぢんでいます。左奥のような状態を前蛹(ぜんよう)といいます。繭になる前は体長が 55〜60mm くらいあったのに、繭を作り終えるとこのとおり縮んで 25mm くらいになってしまいます。

 

 きちんと蛹になったものは、お尻の形を見ると、オス・メスを見分けることができます。ただ、小さいので、見てわかるような写真がとれるかどうかですねー。あと二、三日したらほかの繭もあけてみて、写真をとってみようとは思うのですが。

 

 なお、繭をあけても蛹や前蛹は死にません。そっともとに戻しておけば、やがて羽化して蛾になるはずです。