民話・伝説
むかし衣笠姫という美しい娘がいた。実の母が病死すると、父は新しい妻を迎えることになった。 ところがこの人は心の悪い人だった。血のつながらぬ衣笠姫を憎み、厩(うまや)にとじこめてしまった。馬が暴れて姫を踏んづけたので、姫の背中には蹄の跡がつい…
欽明天皇の御代に、常陸国(茨城県)豊浦の港に権太夫吉林という男がいた。沖で釣りをしていると、美しい姫君が流木に捕まって流れていた。姫には日本語が通じず、隣村の僧侶が梵字を書いて名をたずねたところ、天竺の鱗意大王の娘で金色姫と名乗ったという…
昔、ある百姓家に美しい娘があった。娘はたいそう馬が好きで、厩で寝起きして馬の世話ばかりしていた。そうしているうちに馬と心が通い合い、やがて娘は馬とねんごろになってしまった。 怒った父親は馬を山に引いて行き、大きな桑の木に吊るして殺してしまっ…