趣味の盆蚕

「しゅみのぼんかいこ」とは、盆栽を楽しむように小規模に養蚕を楽しむという意味で、ブログ筆者の造語です。略称は「ぼんさん」

お蚕は本当にクワしか食べないのか?

クワの葉のいろいろ この写真は、わたしがある日、お蚕にくれるために「クワ」だと思って色んな場所でとってきたものです。ちなみにお蚕は全てを喜んで食べました。 ただ、写真では見分けがつかなのですが、ひとつだけ手でさわってみると裏側がビロードのよ…

趣味の盆蚕 YOUTUBE動画

数分ごとの短い動画の再生リストになっています。 ぜひチャンネル登録を、と言いたいところなんですが、わたしのyoutubeアカウントはお蚕以外のこともごっちゃまぜにやっているのでお蚕意外は興味ないよっていう場合はチャンネル登録しても面白いことはない…

お蚕に寄生するハエ

あー、羽化させるためにとってあったお蚕が蛆(うじ)になってしまった…たぶん桑の葉に卵がついてたんだろうなあ。この蛆はハエになるはずです。正確な種類まではわからないけど、カイコに寄生するハエがいます。 pic.twitter.com/Pk20aCHC7s— chinjuh/『化…

桑の木につく虫(テツイロヒメカミキリ、クワノメイガ)

今年はすごく久しぶりにお蚕をやりました。お蚕の動画や、養蚕関連の昔話の動画なんかも作ってるので、おいおい貼っていこうと思います。 今日はいきなりですが、お蚕ではなくて、桑(クワ)の木につく虫の写真を貼ろうと思います。twitterへの投稿のまとめ…

真綿作り〜ずり出しで紬の糸に

みなさんお久しぶりです。二年くらいお蚕をやめてたんですが、冷凍庫にほったらかしにしてあった繭を使おうと思いまして、真綿作りをしました。ツイートはしたのですが、ちょっとまとめておこうと思います。 ただ、最初にいっときますが、わたしは繭になった…

放置前の言い訳(おおざっぱに飼い方をおさらい)

わたしはまたお蚕を飼っていますが、このブログはしばらく放置しようと思っています。新しいブログサービスの使い勝手のお試し用に作ったものなので、もういいかなって感じになりました。 放置する前に言い訳を少し書いておきますね。 わたしは養蚕を幼児の…

衣笠姫(群馬県甘楽郡)

むかし衣笠姫という美しい娘がいた。実の母が病死すると、父は新しい妻を迎えることになった。 ところがこの人は心の悪い人だった。血のつながらぬ衣笠姫を憎み、厩(うまや)にとじこめてしまった。馬が暴れて姫を踏んづけたので、姫の背中には蹄の跡がつい…

蛹のオス・メス

お蚕の種(卵)を取るには、繭をあけて蛹に尻を見てオス・メスを見分ける必要があります。ものすごく大ざっぱに言うと、お尻がツルンとしており、小さな穴がぽつんとあるのがオス。中心に縦線が見えて線の上に縦長の穴が見えるのがメス、という感じです。 と…

卵の変化

今年のお蚕(元ぐんま黄金ちゃん)の卵です。こんなに必要ないのですが、観察用に沢山産ませてみました。産卵した日付と、親の繭の色をメモしてあります。 産卵直後の卵は、どれも黄白色というか、アイボリーというか、少し黄みがかった白です。 産卵から三…

糸できたー

50頭分の繭を1本の糸にして、2本どりにしてよりをかけたのを、さらに2本どりにして(つまり4本どりにして)よってみました。最初の2本はうまくいったと思うのですが、4本にするところでよりが甘すぎたようです。こういうのも味かなあとは思いますけど。精練…

精練したり、よりをかけたり…

前の記事では糸を綛(かせ)にするところまでやったんでしたっけね。 お蚕の糸はセリシンという物質に包まれていて、これが粘着するので繭の形になるんです。糸として利用するには、セリシンを取り除かないといけないんです。そうしないと絹独特のツヤが出な…

糸をつむぐ

人はなぜお蚕の世話をするのか。それは糸を取るためです。お蚕が作る繭は絹(きぬ)という糸になります。養蚕をするなら飼うだけでなく、糸を取って、その糸を利用するところまでやりたいものです。 ところが、ここから先が急に難しくなります。わたしは群馬…

メスは卵を産む、相手がいなくても

メスのお蚕は蛹のうちから腹に卵を持っています。繭から出てすぐにオスをみつけられればいいのですが、みつからなかった場合はひとりで卵を産みはじめます。この卵は無精卵なので孵化しません。

フェロモン

盆栽みたいにこぢんまり養蚕をたのしむ、なんて書いておきながら話がどんどん濃くなってるような気がする昨今です。まあ、写真だけでも見てってください。 上の写真はメスのお蚕です。成虫になるとこのようにお尻から黄色い袋を出します。ここにフェロモンと…

ふぞろいな繭たち/江戸時代の養蚕指南書にみえるお蚕の病気

元ぐんま黄金の繭です。トイレットペーパーの芯を蔟(まぶし)にすると形のいい繭が出来ますよ、などと前に書いたような気がしますが、ごらんの通りふぞろいでお恥ずかしい限りです。 大きいか小さいかは蔟の形によるかもしれませんが、よく見ると小さくて真…

羽化・交尾・割愛

6月30日、朝見たらこの状態でした。 お蚕の交尾は静かで情熱的です。こうして結合したまま翅をふるわせて、何時間もずっとつながっています。手でひきはがそうとしても、簡単にははなれないほど、固く結びついています。 半日くらいほうっておくと勝手に離れ…

お蚕はどのくらい餌を食べるのか

これは難しい問題です。検索などして資料をあたっても数字はまちまちだし、何グラムとか言われたって、実際どんな分量なのか想像できなくて当たり前。毎日食べてるご飯だって、お茶わん一杯で何グラムなのか即答できる人は少ないでしょう? それが桑ならなお…

繭をあけて中の様子をみてみよう

お蚕は、まず粗く糸を張りめぐらします。それから、粗い糸の中に繭を作りはじめます。十分に繭が厚くなると、中で脱皮して蛹になります。 簇(まぶし)からはずしてみました。繭のまわりの粗い糸は毳(けば)と呼ばれていて、これがついたままではうまく糸を…

ぐんま黄金の二代目はどんな色の繭を作るか

同じ品種のお蚕どうしを交尾させても、同じ性質の子供ができるとは限らないというのは前に書きました。 この記事です http://okaiko.hatenablog.com/entry/2013/06/17/113437 今育てているのは「ぐんま黄金」という品種同士を交尾させて生まれてきた二代目で…

ずぅ(繭になる直前のお蚕)はこんな感じ

桑を食べるのをやめ、糸を吐き始めたお蚕に光をあててみました。この透けているところに絹糸腺(けんしせん)というのがあって糸のもとになります。 絹糸腺そのものは生まれた時からあるはずですが、四度目の脱皮のあとで急速に発達するようです。最終的には…

上蔟:今回はトイレットペーパーの芯で

上蔟(じょうぞく)は、繭をつくるための足場にお蚕さんをたけてやることです。その足場のことを「簇」と言って、音読みでは「ぞく」で訓読みでは「まぶし」などです。地方により少し呼び方が違うかもしれません。 蔟はどんな形でもよくて、お蚕さんが自分の…

お蚕さんの体の構造

頭 いちばん先端にあるダンゴっ鼻のようなものが頭です。 眼状紋(がんじょうもん) ここが顔に見えるので、頭だと思っている人が多いのですが、ただの模様です。お蚕さんは危険を感じると眼状紋が目立つように体をきゅーっと縮めます。生きものはにらまれる…

形蚕と姫蚕

一口にお蚕さんと言っても、よく見ると模様に個体差があったりするものです。上の写真では右のお蚕には目のような模様(眼状紋)がありますが、左のにはありません。どちらも同じ親から生まれてきました。 眼状紋がある蚕のことを形蚕(かたこ)、ないほうを…

最後の脱皮が済みました

▲6月13日 四度目の脱皮が終わりました。 ▲脱皮殻です。 お蚕の世話はこれからが本番です。最後の脱皮を終えてからは餌を爆発的に食べるようになるし、病気が出やすいのもここからです。

そろそろ庭の休みです

更新をさぼっている間に次の脱皮がはじまりそうです。四度目の脱皮は「庭の休み」とか「庭の眠り」とか言われています。前の脱皮から5日くらいたっていますし、よく見ると食べ残しの桑に細い糸がついています。桑をやればまだ食べますが、食べる量はぐっと減…

三度目の脱皮が終わったみたい

三度目は舟の休みという名前がついてます。読み方は地方によって違うかもしれないけど「ふなのやすみ」ですかねー。休みというのは脱皮の時にお蚕さんたちが食べるのをやめて動かなくなるからなんですけど、その間餌をやる必要がなくなるので世話をする人た…

今日のお蚕

育ってます。 この砂みたいなものはお蚕の糞です。 江戸時代の養蚕書を読むと、お蚕の世話をする人のことを蚕母(さんぼ)と呼んでいます。女性の仕事だったからでしょう。そういえば祖母の家でも祖父は一番忙しい時期の桑取りを手伝うくらいで、ほかのこと…

富岡日記

『富岡日記』は長野県松代の旧藩士の家に生まれた著者が群馬県の富岡製糸に女工として入場し技術の習得につとめた日々をまとめた手記です。この時著者は十六歳でした。 富岡製糸というと『あゝ野麦峠』のような話が有名なので、少女たちが命を削りながら劣悪…

那須絹のはじめ(栃木県)

欽明天皇の御代に、常陸国(茨城県)豊浦の港に権太夫吉林という男がいた。沖で釣りをしていると、美しい姫君が流木に捕まって流れていた。姫には日本語が通じず、隣村の僧侶が梵字を書いて名をたずねたところ、天竺の鱗意大王の娘で金色姫と名乗ったという…

たかの休み(二回目の脱皮)

そろそろ二度目の脱皮です。たかの休みというやつです。「たか」は鷹という漢字をあてたり、竹と言ったりもします。群馬では竹箒を「たかぼうき」と発音する人がいたし、竹休みと書いても「たかやすみ」と発音したかもしれません。http://okaiko.hatenablog.…