趣味の盆蚕

「しゅみのぼんかいこ」とは、盆栽を楽しむように小規模に養蚕を楽しむという意味で、ブログ筆者の造語です。略称は「ぼんさん」

真綿作り〜ずり出しで紬の糸に

 みなさんお久しぶりです。二年くらいお蚕をやめてたんですが、冷凍庫にほったらかしにしてあった繭を使おうと思いまして、真綿作りをしました。ツイートはしたのですが、ちょっとまとめておこうと思います。

 ただ、最初にいっときますが、わたしは繭になったあとのことって、本当に手探りで、資料映像とか見た事はあっても、実際に人に習ったりしてないので、本当に救いようがないくらいヘッポコです。群馬では養蚕は分業でやっていて、種(卵)から孵化させて稚蚕を育てる人、ある程度育った蚕を買ってきて育てる人、繭から糸をとる人、糸から布を作る人、全部別の仕事です。祖母がやってたのは「ある程度育った蚕を育てる人」だったので、そこから繭になるところまでしか知らないんですよね(笑)

 しかし趣味で飼い始めると繭を利用しないとたまる一方だし、もともと手作業は嫌いじゃないのでいろんなこと試してみてるわけです。

 というわけで、ツイートのまとめ+補足、いってみます。

 


真綿を作る(新小石丸という品種の繭を使っています)

繭のストックがけっこうあるので真綿を作ったりしてる。これまたヘッポコなので資料動画とかは作れないんですけど。 U字型の枠にかぶせて真綿にするのは日本でもやってるかもしれないけど中国でけっこうするみたいです。この写真だけで下手なのが分かる(恥) pic.twitter.com/9D4j3yH65I
posted at 10:22:05

 

 真綿というのは簡単に言うと蚕の繭をほぐしたものです。繭を茹でてゆるくしたものを、平たくのばして乾かしたものです。何に使うかっていうと布団綿にしたり、綿入れの着物の綿にします。それと、真綿から繊維を引っ張り出して疑似的な撚りをかけることで紬(つむぎ)という糸にもなります。

 紬の着物ってありますよね。ぱっと見は木綿みたいなんですが、実はあれ、絹なんですよ。いつごろからそういう糸の作り方があるのかはわからないんですが、普及したのはやっぱり江戸時代で、倹約令で絹の着物が禁じられた時に、ぱっと見は木綿なんだけど絹でできてる紬の着物が流行ったんだとか聞いたことがあります。

 さて、真綿ですが、繭を茹でてほぐしたあと、繊維をどうやってひきのばすかで形がかわってきます。日本だと額縁みたいな枠にかけて四角く整形したものが多いような気がするんですけど、地方によってもちがって、楕円形に伸ばすのとかもありますね。

  下の画像は『かゐこやしなひ草』という養蚕を説明した江戸時代の本で、真綿を作ってるシーンです。この挿し絵を見ると茹でてやわらかくした繭を地面に立てた二本の杭にひっかけて伸ばし、伸ばしたものを干して作ってますね。とにかく、繭をほぐせればいいんだと思います。

 

かいこやしない草

かゐこやしなひ草

軽く説明すると、重曹を入れた水から繭を茹でてやわらかくする。熱いと触れないので水を差していいぐあいに温くして作業する。柔らかくなった繭を手でほぐして中から蛹と脱皮殻をとって、枠にかぶせて薄くひっぱり伸ばす。何個分か重ねて伸ばしたら枠からはずす。写真は茹でてやわらかくなった繭。 pic.twitter.com/TqBHcUYN0c
posted at 10:25:12

 

 繭はセリシンという物質で繊維同士がかたくくっついていて、繭同士がぶつかるとコンコンといい音がするほどです。セリシンはお湯に溶けるので、基本茹でればいいんですが、重曹を入れるとより溶け出しやすくなるみたいです。茹で方は、プロにはなんらかのノウハウがあると思うんですけど、わたしは完全に適当でで、シャトルシェフ(保温調理器)で茹でてます(笑)

 鍋に繭と、繭が浸るくらいの水を入れ、重曹を少々(なんか適当に入れてます。たとえば繭30個が浸る水の量に対して重曹ティースプーン1杯とか)入れて、適当なサイズの皿を伏せて落とし蓋にします。繭は水に浮くので、沈めておくための落とし蓋です。趣味でちょっとだけやるなら、わざわざ落とし蓋を買うより皿がいいと思います。

 鍋を火にかけて、その上から普通の鍋の蓋をします。ふたはちょっとずらして隙間を作っておくと沸騰したのがわかりやすいですね。沸騰したら、シャトルシェフならそこで火をとめて保温釜に入れて30〜1時間くらい放置します。普通の鍋だったら弱火にして30分くらい茹でるといいんじゃないでしょうか。

 ゆで上がったら落とし蓋をとって(皿はすごく熱くなってるので箸かスプーンでうまく持ち上げてとってください。火傷注意)、鍋にそーっと水をさして手でさわれる温度にします。水はジャーッと緩んだ繭が暴れてしまい、繊維同士がからまってその後の作業が面倒なことになります。また、完全に冷水にすると溶け出したセリシンが固まるので、ぬるま湯の状態で作業するといいです。

 そこからの作業は、動画だとわかりやすいのかもですが、わたしがヘッポコすぎて恥ずかしいものしかできないので、このまま言葉で説明します(笑)

 繭をひとつとります。ほかの繭とからまってると思うので、ピューッと引っ張って一個にしましょう。その後の作業はぬるま湯の中でやってください。繭の一ヶ所に穴をあけます。繊維の間に指を入れれば簡単に穴があきます。中にお蚕様(の蛹)がいるので、下から指で押し出します。蛹(さなぎ)はわりと簡単に出てくると思います。

 繭が新しいうちは、この蛹は食べられますので、わたしは炒め物にしたり、佃煮にしたりして食べてます。独特の香りをいやがる人もいますが、美味みが強く、わたしは美味しいと思います。今回は何年か放置した繭なので、残念ですが捨てました(庭みたいなところに埋めたりして。植木の肥料になるかもしれませんし)。

 閑話休題、蛹は簡単に出てくるのですが、脱皮殻は繊維と絡まってとりにくいですが、頑張ってとります。水の中でなるべく繊維からはずしたあと、指でつまんで絡んでる繊維を引きちぎる感じですね。

 繭だけになったら、ぬるま湯の中でかるく広げます。繭に穴をあけたわけですから、お椀のような形になってるのが理想ですが、そそう理想通りにはいきませんので、あまり気にしない。これを枠にはめて延ばします。わたしがやってるやり方だと、U字型の枠にかぶせて下にひっぱる感じです。四角い枠にはめるより簡単じゃないかと思います。

 ちなみに、このU字型の枠は、ダイソーの園芸コーナーで買いました。農作物に寒冷紗をかけたりするのに使う枠です。ダイソーだと手ごろなサイズが常にあるわけじゃないのでホームセンターで探すといいかもしれません。本来は竹を曲げて作るので、竹やぶを持ってる人は竹で作ってください(笑)

 

繭一個を枠にかけたら、そこに重ねて二個、三個と枠にかけていきます。繭は品種によって厚さも違うので、何個分かけるとかは自分で決めていい(商売じゃないので適当で)。 枠からはずしたら適当に畳んで両手のひらに挟んできゅーっと水を搾っておく。写真はたたんで絞ったところ。 pic.twitter.com/qzF0ZMGAyF
posted at 10:28:07

完全に渇く前に軽く水洗いして、また畳んで手のひらにはさんで水気をしぼる。写真は水洗いしてるところ。水の中で広げると枠にかけたときの形に戻る。クラゲみたいできれい。 洗って水気をしぼったら干して乾かせば真綿ができる、はず。 pic.twitter.com/mAjXEEKzAE
posted at 10:31:32

……そのはずですが、わたしは下手くそなのでプロのような仕事はできません。あくまで遊びです。 真綿はプロみたいに上手に作るとすごいんです。人が二人で四隅を持ってびゅーっと広げると、おおおっ?!と思うくらい広がります。きっとどっかにプロの動画があるから興味がある人は探すといいですよ。
posted at 10:35:54

わたしの場合は、そういうすごい真綿は作れないので、真綿をさらにひっぱって糸にする方法で紬糸を作ろうかなと思っています。これまたお遊びですけど。 なるべく太めにとったらあんぎんの横糸にできないかなあと思ったりするんですけど、うーん、まあ、思うだけでなかなかね(笑)
posted at 10:37:29

 いやほんと、誰かに弟子入りできたらいいんですけど、動画見たり想像したりとかでテキトーなので、ただひたすらヘッポコなんですごめんなさい。


真綿を作る(春嶺鐘月編)

毎日何十個か、ちびちびやってる真綿作り。昨日までは小石丸という、皇居で美智子や雅子様が育てていたのと同じ品種の繭だった。これは繭の厚みもあまりない古い品種。だから5個分とか広げて重ねても写真みたいにスケスケになってしまう(わたしが下手なせいもあります)。 twitter.com/chinjuh/status…
posted at 12:12:11

 

 ツイートでは小石丸って言ってますが、よく考えたら新小石丸でした。美智子様が飼ってて、雅子様がひきついだ小石丸という品種は江戸時代にはすでにあったと言われてる古い品種なんですが、繭がすごく小さくて、糸があんまり沢山はとれないんですよね。それを少し品種改良したものです。たぶん病気に強くなってたり、糸を沢山吐くようになってるんじゃないかと思います。群馬で作られた品種で、数年前までは群馬の蚕糸試験場みたいなところから蚕種を取り寄せる事ができたんですけど、今は県外には配布してないので手に入れるのが難しくなりました。

 糸を沢山吐くといっても一般に普及した品種にくらべるとかなり少なめです。どのくらい違うかっていうと下のツイートをどうぞ。

 

今日から始めたのは今日は春嶺鐘月という品種改良が進んだもので、養蚕農家で広く飼育されてたので普通種なんて呼ばれてたりもするかもしれません(そういう呼び方をする品種はほかにもあると思います)。 小石丸と比べると、驚くほど繭が厚くて、五枚重ねるとこのとおり、全然違う。 pic.twitter.com/RmNzDt9Dw3
posted at 12:14:20

まあ、わたしが下手なので、均等にのばせてなくて、あんまりいい資料じゃないですけどね(笑) ぬるま湯のなかで繭をほぐしていても手触りで全然違うって思いますよ。
posted at 12:17:43

 

 最初のツイートに貼った写真と同じく繭を5個分重ねてあるはずなんですが、厚みがぜんぜん違うのがわかるでしょうか。普通なら糸は沢山取れたほうがいいので、古い品種はだんだん廃れてしまいます。皇居のご養蚕所でも、もう小石丸は処分していいんじゃないかと言ってたそうなんですが、美智子様が古いものも残しておきましょうと飼い続けていたそうです。

 ある時、正倉院に納められている古代の布が再現されることになって、なるべく古い品種の蚕が求められました。品種によって糸を吐く量も違えば、糸自体の太さや質も少し違うので、なるべく古いものにこだわったんですね。小石丸自体はジーンバンクとかで絶やさないように育てられてはいるんですが、布にするほどだと何万匹も飼う必要があります。それをしてるのが皇居のご養蚕所くらいだったんだそうで、美智子様が桑くれをしたお蚕の繭が使われたと、けっこう話題になったんです。

 それで養蚕をやってる農家でも、うちでもやりたいって話になり、より飼いやすい品種として新小石丸ができたんだったかな(うろおぼえ)。違ってたらごめんなさい。

 春嶺鐘月という品種は、春嶺と鐘月という品種と、さらに中国のなんとかいう品種をかけあわせて作った一代交雑品種というやつです。野菜なんかでもよく言う F1 品種というやつで、春嶺鐘月同士をかけあわせても春嶺鐘月にはならないので、毎回複雑な交配をしないと春嶺鐘月になりません。そんな面倒くさい交配をしてでも作りたいほど育てやすく沢山糸を吐く蚕というわけです。

 もちろん、一般の農家でこんな複雑な交配を毎季節やるわけにはいかないので、専門の蚕種屋さんがやって蚕種を売り買いする仕組みがありました。今のF1品種の野菜をサカタやタキイが作って売ってるのと同じです。

 今、野菜でF1品種は同じ品種どうしをかけあわせても親と同じ性質にならないと、いくら説明してもわかってくれない人がいるみたいに、お蚕もほっとくと親と違う性質のものを親の名前で売ろうとする人がいるので、品種を保護するために昔は蚕の交配には許可が必要でした。しかし養蚕は現在ではほとんど廃れた産業なので、その法律はいつだったか廃止されました。

 そんなこんなで、真綿を作りました。一日中この仕事をするのも飽きますし、干しておく場所もないですから、繭を30〜40個くらいずつ茹でては真綿にして、物干しにぶらさげて干しました。

 


真綿から糸を作る

自作の下手くそな真綿

真綿(そうとう下手くそ)

 これが自作の真綿です。断じて言いますが、プロの真綿はこんなんじゃないです。もっとこう、すごいんです。もう全然違う見た目で、プロのものを見てしまうとわたしのブログなんか今すぐ読むのをやめたくなると思います。こういう言い訳をしなくてもいいような上手な真綿を作りたいです。誰か教えてwwww

 とにかく、繭をほぐして引き伸ばして干しました。一応真綿です。これを糸にするんですが、その際に日本では下のような形の器具を使うことが多いです。

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真綿を糸にするときに使う器具

  糸巻きに似てますが、回転はしなくて、ただ真綿をはめておくだけなんです。ここから繊維を少量つかんで引っ張って、水をつけた手で軽く撚ると、セリシンでくっついて糸になります。

 この器具、あると便利でしょうけど、作るのは面倒くさいので、何か別のもので代用できないかなと思って、下の写真のようなものを作りました。

 

すのこに釘を打って作った真綿をかける器具

すのこに釘を打って作った真綿をかける器具

 写真だと大きく見えそうですが、30cm四方くらいのすのこに無数の釘を打ったものです。このサイズのすのこを昔ダイソーでみつけて買いました。多きはさ適当でいいし、すのこである必要もないですが、釘を打てる板状のものがいいと思います。

 日本の動画で、これに近いものを使ってるお婆ちゃんを見て、これだ!と思ってまねをしています。

 ここに真綿をかけます。真綿は乾いてすこし固くなってるし、伸ばすのが下手くそだと固まってる部分もあるので、軽く揉んだりして繊維をほぐして、下の写真のように釘にひっかけて広げます。

すのこで作った器具に真綿をかけたところ

すのこで作った器具に真綿をかけたところ

 ちょっと薄い真綿でしたね。もうちょっとマシにできてるのを選べばいいのにって思いますが、あんまり気にしないでください。気にする人はわたしのブログなんか見てちゃだめだと思います。こんな感じに、釘と釘のあいだに繊維が軽く張ってる感じになればいいです。

 

水を入れた容器と、糸を入れるための容器を用意する

水を入れた容器と、糸を入れるための容器を用意する

 糸を撚る作業は、常に手を濡らしながらやるので、水を入れたボウルかなんかを用意してください。また、作った糸を入れるための空っぽの容器も必要です。

 

すのこの器具から真綿をひっぱって糸にする様子

すのこの器具から真綿をひっぱって糸にする様子

 すのこの器具にかけた真綿から、繊維を少しつまんで引っ張ります。すると、ずるずるっと長く出てきますから、利き手に水をつけて指先で繊維に撚りをかけます。撚り(より)といっても、本当にねじれているわけではなくて、繊維同士がからまってくっついているだけなので、疑似的な撚りになります。羊毛や木綿だと、このやり方では糸にはならないんですが、絹だと繊維が長く、強く、互いにからみやすいので、こんな方法でも糸になります。真綿から引っ張り出す様子から、この手法を「ずり出し」などと呼ぶみたいです。

 絹の繊維は強くて、引っ張るのにそれなりに力が必要です。すのこの器具も一緒についてきてしまうことがあるので、クランプみたいなもので軽く机にとめておくと楽だと思います。途中で向きを変えたくなるかもしれないので、軽くとまってれば充分です。床に置いてやるなら足でおさえてもいいんじゃないでしょうか。

 手につける水は、水道水を使っていますが、井戸水だった時代は地域によっては鉄分が多く含まれていたりして、糸の色を悪くしてしまうことがあったそうです。それで、正式な作法としては、指先をぺろっと舐めてしめらせてからよりをかけるのは正しいそうです!

 わたしも最初はなめてやってたんですが、年をとってくるとつばもそうそう出ませんし、つばをきれいにしておくために途中でお茶も飲めませんから、今は水道水でいいやってことにしています。

 

撚った糸はからの容器に入れていく

撚った糸はからの容器に入れていく

 撚った糸はカラの容器に入れていきます。

 

ずり出して薄くなった真綿

ずり出して薄くなった真綿

 さんざん糸をとって真綿が薄くなったら、この上にさらに真綿をかければ、続けてずり出すこともできます。今回はここでやめときます。続きは同じように繊維をひっぱって、今日作った糸の端っこに水をつけてよりよりすればくっつきますから大丈夫ですよ。

 

今回できた糸

今回できた糸

 今回出来た糸です。指先をなめて作れば糸はあまり濡れないんですが、今回は手水を使ったのでけっこう濡れてますので、すぐにしまい込まず干して乾かしたほうがいいと思います。

 この量で繭は4個分くらいだったでしょうか。5個くらいずつ重ねてるんですが、自家用なのでボーッと作業してて、4個だったり6個だったり、いろいろなんです。薄かったので4個かなあと。

 1個の繭からできる糸は、そう多くはないんです。着物にするくらい糸を引くには、一万何百個とか繭を使うと聞いた事があります(小石丸系の繭の小さい品種だったら倍くらい必要)。

 こうやって作った糸は、よりがかかってないので緯糸(よこいと)として使われることが多いのですが、ほんとうに上手な人が作ったものは強度を求められる經糸(たていと)にも使えるというのも聞いた事があります。

 ずり出しで作った糸を緯糸にして布を織ると紬(つむぎ)という絹織物になります。すでに説明しましたが、見た目は木綿みたいだけど絹なので、倹約令が出て贅沢品を身に付けられなかった時代に、お洒落な人はこぞって紬の着物を求めたそうです。絹の衣服は軽いし、蒸れないし、繊維がたんぱく質なので色鮮やかに染まります。それに、高級に見えないのに実は高級っていうのが逆にイキだったんでしょうね(倹約令の意味はどこへ?)。 


 というわけで、真綿作り、ずり出しによる糸作りでした。たぶんyoutubeあたりで「ずり出し」などを検索すると、わたしのブログを二度と見たくなくなるようなちゃんとした解説の動画があると思います。そりゃあ、わたしだって「うちを見れば全部済みます。どんどん見て!」って言いたいわけですが、いやね、さすがに、こうヘッポコだと言い訳しとかないと叩かれそうなんだもの。

 いやあ、叩くなら炎上するくらい叩いてほしいんです。喜んで広告貼りますわ(それか!)。大もうけしたら桑畑用に土地買いますわ。養蚕じゃ炎上しそうもないですねえ。

 

放置前の言い訳(おおざっぱに飼い方をおさらい)

養蚕 | 超・珍獣様のいろいろ

↑わたしがやってる別のブログの養蚕カテゴリーへのリンクです。初夏だけですが毎年何かしら飼ってるので、お蚕が見たい人はこちらもどうぞ。ブログ全体は特にテーマもなく、いろんなことを雑多に放り込んでます。

 

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 わたしはまたお蚕を飼っていますが、このブログはしばらく放置しようと思っています。新しいブログサービスの使い勝手のお試し用に作ったものなので、もういいかなって感じになりました。

 

 放置する前に言い訳を少し書いておきますね。

 

 わたしは養蚕を幼児の頃に(ほんとに幼稚園とかの頃なんです)祖母から習っただけで、人に飼い方を教えられるような立場じゃありません。そのくせ「もっとカジュアルに、そこいらであるもので飼ってみるテスト」なんてこと言いながらお蚕を飼っています。そのため、偉い人から見ると「こいつメチャクチャだぜ(藁」みたいな事を平気でやっているかもしれません。

 

 たとえば自分でかなり気になっているのは、稚蚕をタッパー飼いしてる所とかですね。タッパーは蒸れてカビが生えるのでよくありません。タッパーでも大丈夫なのはせいぜい20頭とか、少ない数の時だけですからほんと注意しましょう(笑)

 

 比較的まっとうな飼い方として、上に貼った写真のような方法を提案します。図解すると下のような状態です。

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 ビニールは餌が乾燥しないようにするために必要です。これをかぶせておかないと桑がパリパリになってしまいます。

 ただし、ビニール袋の中に入れてしまうと蒸れすぎるのでよろしくないです。二つ折りにしたビニールの間に、お蚕をのっけた紙を挟む感じです。これなら横から空気が抜けるので蒸れすぎることがなく、乾燥も防げます。ビニールは、ビニール袋をはさみで切って広げて使うと扱いやすいです。

 

 お蚕の数が多かったり、湿気の高い季節だったりすると、これでも蒸れるかもしれないので、その場合は、ビニールを下に敷くのをやめるか、上にかぶせるのをやめるか、どっちかで湿気を調整します。

 

 お蚕がまだ小さいうちは、餌の交換が難しいと思うので、餌を上に追加するだけにします。でも、下に敷いてある紙は毎日交換してください。古い餌ごと新しい紙に移せばいいと思います。お蚕が一度か二度脱皮すれば、餌も交換できるようになると思いますので、そしたら毎日古い餌と糞は捨ててください。

 

 紙は、上に貼った写真だと天ぷらの下に敷くやつ(100円ショップにある)を使ってます。半紙でもいいです。もっと大きなザルの上で大量に飼うなら模造紙とかでもOKです。

 

 餌の交換は、なるべくお蚕を手でさわらないようにやります。たとえば朝起きたら、桑の葉が葉脈だけになってると思いますので、お蚕がしがみついてる葉脈をつまんで新しい紙に移し、上から新しい餌をやります。

 

 もしくは、古い餌の上に新しい餌をのせて、お蚕がのぼってきたところを見計らって、新しい餌ごと新しい紙に移してやるとかします。

 

 お蚕が脱皮している時は、なるべく触らないようにします。うっかりさわると脱皮できなくて死んでしまうことがあります。成長がそろっていて、いっせいに脱皮しているならば、脱皮の間は餌をやらず、おわってからやるようにします。

 

 成長にばらつきが出て、こっちでは餌を食べてるのに、こっちでは脱皮してる、というような時はしょうがないから餌をやるんですが、脱皮を邪魔しないように、上にそっと餌をのせるだけにして餌の交換をやめておくとか、臨機応変にやってみましょう。基本は、観察力です。マニュアルよりも自分の目を信じましょう。

 

 お蚕が育ってくると、ザルが手狭になるかもしれません。狭いなあと思ったら、もう一枚ザルを増やして広げてやってもいいですね。狭いところで沢山飼うと、餌をたべられない蚕ができていまうので、育ちにばらつきが出てしまいます。これも「狭そうだな」と思ったら分ける感じでいいと思います。そのくらいのゆるい感覚でも案外、育っちゃうものです。

 

 お蚕が四回脱皮したら、乾燥気味に管理してください。この段階で蒸れると病気が出やすいです。ビニールをすっかりとってしまうか、下か上のビニールをやめるとかしましょう。

 

 それと、大事なことですが、最初から完璧に飼おうなんて思わないこと! プロになりたいなら養蚕農家に弟子入りしてみっちり覚えたほうがいいですが、あくまで趣味の盆蚕(盆栽みたいに小規模にやる養蚕)ですから、今回は失敗だったなあと思ったら、次はうまく行くように工夫すればいいんです。それが楽しみであり、学ぶってことなんじゃないですかね。

 

 まあそんなこんなです。きっと世の中にはもっとまっとうな養蚕家のみなさんがいらっしゃると思うので、わからないことはネット検索するといいですね(って逃げておく)。

 

 

 それではみなさんおたっしゃでー。

衣笠姫(群馬県甘楽郡)

 むかし衣笠姫という美しい娘がいた。実の母が病死すると、父は新しい妻を迎えることになった。

 

 ところがこの人は心の悪い人だった。血のつながらぬ衣笠姫を憎み、厩(うまや)にとじこめてしまった。馬が暴れて姫を踏んづけたので、姫の背中には蹄の跡がついてしまった。爺やがあわててお救いしたが、姫はしばらく死んだようにぐったりしていた。

 

 次に継母は姫を竹やぶに置き去りにした。婆やが探し出してお助けしたが、姫は衰弱して死んだようにぐったりしていた。

 

 三度目はたらいに乗せて川に捨てられた。爺やと婆やが探し出してなんとかお助けしたものの、姫は疲れ切ってぐったりしてしまった。

 

 継母はすっかり怒って、四度目には庭に穴を掘って姫を生き埋めにしてしまった。爺やと婆やが気づいた時にはもう遅く、姫は息絶えていた。

 

 それからしばらくすると、姫が埋められたところに黒く小さな芋虫がはいまわっていた。虫の体には馬のひづめのあとのような斑があった。

 

 クワの葉をあたえて育ててみると、急に死んだように動かなくなり、しばらくするとまた動きだして葉をたべはじめる。そういう事が四度あ り、繭を作った。ちょうど姫が継母に殺されかけたのと同じ回数である。姫の一生になぞらえて、最初の休みをシジの休み、二番目の休みをタケ(竹)の休み、 三番目の休みをフナ(船)の休み、四番目の休みをニワ(庭)の休みと呼んだ。

 

 今でも群馬では蚕を「お蚕さま(おこさま)」と呼んで大切に飼い、衣笠明神をまつっている。

 

 

 過去に自分で作ったサイトよりやや手直しして転載。未来社『日本の民話8 上州・甲斐編』より要約しつつ抜き書きしたものです。

 類話:金色姫(茨城県)など

蛹のオス・メス

 お蚕の種(卵)を取るには、繭をあけて蛹に尻を見てオス・メスを見分ける必要があります。ものすごく大ざっぱに言うと、お尻がツルンとしており、小さな穴がぽつんとあるのがオス。中心に縦線が見えて線の上に縦長の穴が見えるのがメス、という感じです。

 

 とはいえ、ぱっと見てわからず、悩むことも良くあります。今回は繭を沢山あけてみて、端から写真をとり、それぞれ番号をつけて羽化させ、オスメスを確認しました。メスの写真が少ないのが残念なので、いずれチャンスがあったら追加しておきますね。

 

 肉眼ではわかりづらくても、こうして写真をとって引き伸ばしてみると、かなり見分けがつきます。虫眼鏡を使えば写真をとらなくてもわかりそうですね。

 

 写真はクリックすると大きなものが見られるようになっています。

オスの蛹

 

つぶれていて判別できなかった例:オス

 

 

メスの蛹

追加↓

 

つぶれていて判別できなかった例:メス

 

 

卵の変化

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 今年のお蚕(元ぐんま黄金ちゃん)の卵です。こんなに必要ないのですが、観察用に沢山産ませてみました。産卵した日付と、親の繭の色をメモしてあります。

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 産卵直後の卵は、どれも黄白色というか、アイボリーというか、少し黄みがかった白です。

 

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 産卵から三日たつと、このように茶色く変化する卵があります。この卵はさらに一日か二日たつと、下のように黒っぽくなります(下の写真は一日後れで生まれた卵ですが、上の写真も最終的にこんな色になりました)。

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 このように、三、四日で黒っぽく変化する卵は「休眠卵」といって、冬を越さないと孵化しない卵です。この写真のものは、産卵から二十日近く室温においても孵化しませんでした。

 

 

 一方、卵が白いまま変化せず、六日目くらいに下の写真のように、突然色が変わるものがあります。

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↓拡大

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 卵の皮ごしに黒い点が見えると思います。どうやら中で頭ができているのですね。この卵は翌日に孵化しました。非休眠卵(冬ごしをせずに孵化する卵)だったようです。

 

 今回は、非休眠卵を産んだペアが五組ありました。そのすべての卵が六日間白いままで、七日後に上の写真のように頭ができて(灰色に変化したように見える)、八日後には孵化しました。

 

 同じ時期に生まれて、同じように育った蚕なのになぜか休眠卵を産むものと、非休眠卵を産むものがあるようです。同じ親の卵に両方まざっていることもあります。

 

 休眠卵はこのままほっといても来春になるまで孵化しないはずなのですが、まかりまちがって孵化すると面白いので半分は室温で保存することにしました。もう半分はビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。

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糸できたー

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 50頭分の繭を1本の糸にして、2本どりにしてよりをかけたのを、さらに2本どりにして(つまり4本どりにして)よってみました。最初の2本はうまくいったと思うのですが、4本にするところでよりが甘すぎたようです。こういうのも味かなあとは思いますけど。精練(セリシンを落とす作業)をどこまでやっていいのかも良くわからず、最後にまた茹でて洗い流して終わりにしました。

 

 さて、この糸で何を作りましょう。大量に繭を使ったわりに、意外と細いんです。ためしにレース糸用のかぎ針で編んでみようとしたら、かなり細かい作業になりそうで遠視の進んだ目には厳しいようです。

精練したり、よりをかけたり…

 前の記事では糸を綛(かせ)にするところまでやったんでしたっけね。

 

  お蚕の糸はセリシンという物質に包まれていて、これが粘着するので繭の形になるんです。糸として利用するには、セリシンを取り除かないといけないんです。そうしないと絹独特のツヤが出ないし、洗うたびにセリシンが溶けだすので、染めても落ちてしまうし、洗って乾かすたびにゴワゴワに固まっちゃったりするわけです。

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 これは、前の記事で綛にしたものを、一度茹でてからぬるま湯で洗って、絞って乾かしたものです。まだまだセリシンが落ち切っていなくて、乾いたらガチガチに固まってしまいました。糸をはがそうとすると、バリバリッと言うような状態です。

 

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 もう一度茹でてみます。ガチガチだった綛が、お湯に入れたとたんに柔らかくなりました。

 

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 生糸からセリシンを取り除く作業のことを精練(せいれん)といいます。

 

http://www.pref.gunma.jp/06/f2210130.html

 群馬県の公式サイトによると、精練にはいくつかの方法があって、セッケン(石鹸?)で洗う、アルカリで処理する、セッケンとアルカリを両方使う、酵素でとかしちゃう、圧力釜みたいなものを使う、の五種類だそうです。

 

 自宅でやるなら、重曹を入れて煮る(アルカリ精練にあたる)のがいいんじゃないかと思うんですけど、今回はお湯だけで煮てみます。どんな出来上がりになるかは、わたしもわかりません(笑)

 

 煮るといっても、グラグラ沸騰させてしまうと糸にダメージがありそうな気がするので、シャトルシェフを使って、糸を入れたら火をとめて保温するようにしました*1。普通の鍋を使うのなら、沸騰させないように弱火で加熱するといいかもしれません。詳しいやり方は養蚕でなく染色関係のサイトを見るといいかもしれないです。精練のことはソーピングともいいます。

 

 数時間保温したあと、またぬるま湯でそーっと洗い流し、軽く絞ります。洗う時に水よりぬるま湯がいいような気がします。温度が下がると固まっちゃうので。ここまでで二度茹でているわけですが、この程度じゃまだまだって感じですね。

 

 でも、ここらでひとまず精練は中断して、糸によりをかけようと思うんです。なんで途中でやめるかっていわれても行き当たりばったりなのでよくわかりません。ホントにすみませんフィーリングだけで作業してて。

 

 糸によりをかけるには、紡ぎ車のようなメカ的な道具もあるのですが、それを購入するような資金がないので、このような道具を自作しました。スピンドルとか紡錘(つむ、ぼうすい)とか言います。

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 こうやってぶら下げて回転させればよりがかかります。

 

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 よりのかかった糸は、こんな感じで巻き取っていくわけです。この作業はチャンスがあったらもうちょっと詳しく書きたいと思います。

 

 この作業をやるのに、糸が綛(かせ)のままだと場所も食うし取り回しがめんどうなので玉にしてやりたいと思うわけです。

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 こういう具合で 2玉並べて、引き合わせてよりをかけたいんです。

 

 しかしここからまた壁にぶちあたる。なんせ安く買えそうなもので作業しているので様々具合が悪いのです。

 

 糸を乾かしてしまうと固まってはがれにくくなるので、湿ったまま作業したいです。ところが、糸は塗れた状態だとのびて、乾いた時にキューッと絞まっちゃうんですよね。前のページにかいた「まきまき」で巻き取ると、毛糸と違って抜けなくなってしまうんです。

 

 いちおう工夫はしてみました。たとえば紙でこんな筒をつくってまきまきにとりつけて、ここに糸を巻いて紙ごと抜いたらどうか。

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 やってみましたが、全然ダメでした。紙も湿ってガッツリ絞まって抜けないのです。普通は糸巻きを複数用意してやるんでしょうが、まきまきの芯は 1個しかありません。どうすりゃいいの?

 

 仕方ないので「まきまきに巻き取ったあと、さらに綛にもどし、もう一度まきまきで玉にする」という、自分でもアホかと突っ込みたくなるような作業をして、どうにか玉を 2個作りました。玉→綛→玉とくりかえせば空気にふれて乾き、くっつかなくなるというわけです。

 

 でも、こんなのまだ序の口でした。むしろ苦労したのはよりをかける作業です。なんせお蚕の糸は良く育った状態ならば1000m以上あるらしいです。わたしが育てたお蚕は餌が足りなかったのか綛くり機の回転で計算したところ700mくらいしかなかったのですが、それでも700mですからね。これをスピンドルで地道によりをかけるわけですから時間がかかるのなんのって、結局 3日くらいかかってしまいました。スローライフは根性です。

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 これを、2玉にわけて引き合わせて、最初にかけたよりと逆方向のよりをかけて、最終的にまた精練すれば完成する、はず。七夕のお供えに間に合うか、なんてこと書きましたが、ぜーんぜん間に合いませんでしたー。

*1:ちなみにこの鍋は普段の料理にも使っています。お蚕は毒ではないので(虫が嫌いでないなら)問題はありません。ただし、煮炊きに使った鍋はきれいに洗ったつもりでも食材のアクが残っているかもしれないので、糸の色に影響する可能性があります。可能なら専用の鍋を作ったほうがいいような気はします。