趣味の盆蚕

「しゅみのぼんかいこ」とは、盆栽を楽しむように小規模に養蚕を楽しむという意味で、ブログ筆者の造語です。略称は「ぼんさん」

放置前の言い訳(おおざっぱに飼い方をおさらい)

養蚕 | 超・珍獣様のいろいろ

↑わたしがやってる別のブログの養蚕カテゴリーへのリンクです。初夏だけですが毎年何かしら飼ってるので、お蚕が見たい人はこちらもどうぞ。ブログ全体は特にテーマもなく、いろんなことを雑多に放り込んでます。

 

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 わたしはまたお蚕を飼っていますが、このブログはしばらく放置しようと思っています。新しいブログサービスの使い勝手のお試し用に作ったものなので、もういいかなって感じになりました。

 

 放置する前に言い訳を少し書いておきますね。

 

 わたしは養蚕を幼児の頃に(ほんとに幼稚園とかの頃なんです)祖母から習っただけで、人に飼い方を教えられるような立場じゃありません。そのくせ「もっとカジュアルに、そこいらであるもので飼ってみるテスト」なんてこと言いながらお蚕を飼っています。そのため、偉い人から見ると「こいつメチャクチャだぜ(藁」みたいな事を平気でやっているかもしれません。

 

 たとえば自分でかなり気になっているのは、稚蚕をタッパー飼いしてる所とかですね。タッパーは蒸れてカビが生えるのでよくありません。タッパーでも大丈夫なのはせいぜい20頭とか、少ない数の時だけですからほんと注意しましょう(笑)

 

 比較的まっとうな飼い方として、上に貼った写真のような方法を提案します。図解すると下のような状態です。

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 ビニールは餌が乾燥しないようにするために必要です。これをかぶせておかないと桑がパリパリになってしまいます。

 ただし、ビニール袋の中に入れてしまうと蒸れすぎるのでよろしくないです。二つ折りにしたビニールの間に、お蚕をのっけた紙を挟む感じです。これなら横から空気が抜けるので蒸れすぎることがなく、乾燥も防げます。ビニールは、ビニール袋をはさみで切って広げて使うと扱いやすいです。

 

 お蚕の数が多かったり、湿気の高い季節だったりすると、これでも蒸れるかもしれないので、その場合は、ビニールを下に敷くのをやめるか、上にかぶせるのをやめるか、どっちかで湿気を調整します。

 

 お蚕がまだ小さいうちは、餌の交換が難しいと思うので、餌を上に追加するだけにします。でも、下に敷いてある紙は毎日交換してください。古い餌ごと新しい紙に移せばいいと思います。お蚕が一度か二度脱皮すれば、餌も交換できるようになると思いますので、そしたら毎日古い餌と糞は捨ててください。

 

 紙は、上に貼った写真だと天ぷらの下に敷くやつ(100円ショップにある)を使ってます。半紙でもいいです。もっと大きなザルの上で大量に飼うなら模造紙とかでもOKです。

 

 餌の交換は、なるべくお蚕を手でさわらないようにやります。たとえば朝起きたら、桑の葉が葉脈だけになってると思いますので、お蚕がしがみついてる葉脈をつまんで新しい紙に移し、上から新しい餌をやります。

 

 もしくは、古い餌の上に新しい餌をのせて、お蚕がのぼってきたところを見計らって、新しい餌ごと新しい紙に移してやるとかします。

 

 お蚕が脱皮している時は、なるべく触らないようにします。うっかりさわると脱皮できなくて死んでしまうことがあります。成長がそろっていて、いっせいに脱皮しているならば、脱皮の間は餌をやらず、おわってからやるようにします。

 

 成長にばらつきが出て、こっちでは餌を食べてるのに、こっちでは脱皮してる、というような時はしょうがないから餌をやるんですが、脱皮を邪魔しないように、上にそっと餌をのせるだけにして餌の交換をやめておくとか、臨機応変にやってみましょう。基本は、観察力です。マニュアルよりも自分の目を信じましょう。

 

 お蚕が育ってくると、ザルが手狭になるかもしれません。狭いなあと思ったら、もう一枚ザルを増やして広げてやってもいいですね。狭いところで沢山飼うと、餌をたべられない蚕ができていまうので、育ちにばらつきが出てしまいます。これも「狭そうだな」と思ったら分ける感じでいいと思います。そのくらいのゆるい感覚でも案外、育っちゃうものです。

 

 お蚕が四回脱皮したら、乾燥気味に管理してください。この段階で蒸れると病気が出やすいです。ビニールをすっかりとってしまうか、下か上のビニールをやめるとかしましょう。

 

 それと、大事なことですが、最初から完璧に飼おうなんて思わないこと! プロになりたいなら養蚕農家に弟子入りしてみっちり覚えたほうがいいですが、あくまで趣味の盆蚕(盆栽みたいに小規模にやる養蚕)ですから、今回は失敗だったなあと思ったら、次はうまく行くように工夫すればいいんです。それが楽しみであり、学ぶってことなんじゃないですかね。

 

 まあそんなこんなです。きっと世の中にはもっとまっとうな養蚕家のみなさんがいらっしゃると思うので、わからないことはネット検索するといいですね(って逃げておく)。

 

 

 それではみなさんおたっしゃでー。

衣笠姫(群馬県甘楽郡)

 むかし衣笠姫という美しい娘がいた。実の母が病死すると、父は新しい妻を迎えることになった。

 

 ところがこの人は心の悪い人だった。血のつながらぬ衣笠姫を憎み、厩(うまや)にとじこめてしまった。馬が暴れて姫を踏んづけたので、姫の背中には蹄の跡がついてしまった。爺やがあわててお救いしたが、姫はしばらく死んだようにぐったりしていた。

 

 次に継母は姫を竹やぶに置き去りにした。婆やが探し出してお助けしたが、姫は衰弱して死んだようにぐったりしていた。

 

 三度目はたらいに乗せて川に捨てられた。爺やと婆やが探し出してなんとかお助けしたものの、姫は疲れ切ってぐったりしてしまった。

 

 継母はすっかり怒って、四度目には庭に穴を掘って姫を生き埋めにしてしまった。爺やと婆やが気づいた時にはもう遅く、姫は息絶えていた。

 

 それからしばらくすると、姫が埋められたところに黒く小さな芋虫がはいまわっていた。虫の体には馬のひづめのあとのような斑があった。

 

 クワの葉をあたえて育ててみると、急に死んだように動かなくなり、しばらくするとまた動きだして葉をたべはじめる。そういう事が四度あ り、繭を作った。ちょうど姫が継母に殺されかけたのと同じ回数である。姫の一生になぞらえて、最初の休みをシジの休み、二番目の休みをタケ(竹)の休み、 三番目の休みをフナ(船)の休み、四番目の休みをニワ(庭)の休みと呼んだ。

 

 今でも群馬では蚕を「お蚕さま(おこさま)」と呼んで大切に飼い、衣笠明神をまつっている。

 

 

 過去に自分で作ったサイトよりやや手直しして転載。未来社『日本の民話8 上州・甲斐編』より要約しつつ抜き書きしたものです。

 類話:金色姫(茨城県)など

蛹のオス・メス

 お蚕の種(卵)を取るには、繭をあけて蛹に尻を見てオス・メスを見分ける必要があります。ものすごく大ざっぱに言うと、お尻がツルンとしており、小さな穴がぽつんとあるのがオス。中心に縦線が見えて線の上に縦長の穴が見えるのがメス、という感じです。

 

 とはいえ、ぱっと見てわからず、悩むことも良くあります。今回は繭を沢山あけてみて、端から写真をとり、それぞれ番号をつけて羽化させ、オスメスを確認しました。メスの写真が少ないのが残念なので、いずれチャンスがあったら追加しておきますね。

 

 肉眼ではわかりづらくても、こうして写真をとって引き伸ばしてみると、かなり見分けがつきます。虫眼鏡を使えば写真をとらなくてもわかりそうですね。

 

 写真はクリックすると大きなものが見られるようになっています。

オスの蛹

 

つぶれていて判別できなかった例:オス

 

 

メスの蛹

追加↓

 

つぶれていて判別できなかった例:メス

 

 

卵の変化

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 今年のお蚕(元ぐんま黄金ちゃん)の卵です。こんなに必要ないのですが、観察用に沢山産ませてみました。産卵した日付と、親の繭の色をメモしてあります。

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 産卵直後の卵は、どれも黄白色というか、アイボリーというか、少し黄みがかった白です。

 

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 産卵から三日たつと、このように茶色く変化する卵があります。この卵はさらに一日か二日たつと、下のように黒っぽくなります(下の写真は一日後れで生まれた卵ですが、上の写真も最終的にこんな色になりました)。

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 このように、三、四日で黒っぽく変化する卵は「休眠卵」といって、冬を越さないと孵化しない卵です。この写真のものは、産卵から二十日近く室温においても孵化しませんでした。

 

 

 一方、卵が白いまま変化せず、六日目くらいに下の写真のように、突然色が変わるものがあります。

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↓拡大

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 卵の皮ごしに黒い点が見えると思います。どうやら中で頭ができているのですね。この卵は翌日に孵化しました。非休眠卵(冬ごしをせずに孵化する卵)だったようです。

 

 今回は、非休眠卵を産んだペアが五組ありました。そのすべての卵が六日間白いままで、七日後に上の写真のように頭ができて(灰色に変化したように見える)、八日後には孵化しました。

 

 同じ時期に生まれて、同じように育った蚕なのになぜか休眠卵を産むものと、非休眠卵を産むものがあるようです。同じ親の卵に両方まざっていることもあります。

 

 休眠卵はこのままほっといても来春になるまで孵化しないはずなのですが、まかりまちがって孵化すると面白いので半分は室温で保存することにしました。もう半分はビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。

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糸できたー

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 50頭分の繭を1本の糸にして、2本どりにしてよりをかけたのを、さらに2本どりにして(つまり4本どりにして)よってみました。最初の2本はうまくいったと思うのですが、4本にするところでよりが甘すぎたようです。こういうのも味かなあとは思いますけど。精練(セリシンを落とす作業)をどこまでやっていいのかも良くわからず、最後にまた茹でて洗い流して終わりにしました。

 

 さて、この糸で何を作りましょう。大量に繭を使ったわりに、意外と細いんです。ためしにレース糸用のかぎ針で編んでみようとしたら、かなり細かい作業になりそうで遠視の進んだ目には厳しいようです。

精練したり、よりをかけたり…

 前の記事では糸を綛(かせ)にするところまでやったんでしたっけね。

 

  お蚕の糸はセリシンという物質に包まれていて、これが粘着するので繭の形になるんです。糸として利用するには、セリシンを取り除かないといけないんです。そうしないと絹独特のツヤが出ないし、洗うたびにセリシンが溶けだすので、染めても落ちてしまうし、洗って乾かすたびにゴワゴワに固まっちゃったりするわけです。

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 これは、前の記事で綛にしたものを、一度茹でてからぬるま湯で洗って、絞って乾かしたものです。まだまだセリシンが落ち切っていなくて、乾いたらガチガチに固まってしまいました。糸をはがそうとすると、バリバリッと言うような状態です。

 

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 もう一度茹でてみます。ガチガチだった綛が、お湯に入れたとたんに柔らかくなりました。

 

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 生糸からセリシンを取り除く作業のことを精練(せいれん)といいます。

 

http://www.pref.gunma.jp/06/f2210130.html

 群馬県の公式サイトによると、精練にはいくつかの方法があって、セッケン(石鹸?)で洗う、アルカリで処理する、セッケンとアルカリを両方使う、酵素でとかしちゃう、圧力釜みたいなものを使う、の五種類だそうです。

 

 自宅でやるなら、重曹を入れて煮る(アルカリ精練にあたる)のがいいんじゃないかと思うんですけど、今回はお湯だけで煮てみます。どんな出来上がりになるかは、わたしもわかりません(笑)

 

 煮るといっても、グラグラ沸騰させてしまうと糸にダメージがありそうな気がするので、シャトルシェフを使って、糸を入れたら火をとめて保温するようにしました*1。普通の鍋を使うのなら、沸騰させないように弱火で加熱するといいかもしれません。詳しいやり方は養蚕でなく染色関係のサイトを見るといいかもしれないです。精練のことはソーピングともいいます。

 

 数時間保温したあと、またぬるま湯でそーっと洗い流し、軽く絞ります。洗う時に水よりぬるま湯がいいような気がします。温度が下がると固まっちゃうので。ここまでで二度茹でているわけですが、この程度じゃまだまだって感じですね。

 

 でも、ここらでひとまず精練は中断して、糸によりをかけようと思うんです。なんで途中でやめるかっていわれても行き当たりばったりなのでよくわかりません。ホントにすみませんフィーリングだけで作業してて。

 

 糸によりをかけるには、紡ぎ車のようなメカ的な道具もあるのですが、それを購入するような資金がないので、このような道具を自作しました。スピンドルとか紡錘(つむ、ぼうすい)とか言います。

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 こうやってぶら下げて回転させればよりがかかります。

 

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 よりのかかった糸は、こんな感じで巻き取っていくわけです。この作業はチャンスがあったらもうちょっと詳しく書きたいと思います。

 

 この作業をやるのに、糸が綛(かせ)のままだと場所も食うし取り回しがめんどうなので玉にしてやりたいと思うわけです。

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 こういう具合で 2玉並べて、引き合わせてよりをかけたいんです。

 

 しかしここからまた壁にぶちあたる。なんせ安く買えそうなもので作業しているので様々具合が悪いのです。

 

 糸を乾かしてしまうと固まってはがれにくくなるので、湿ったまま作業したいです。ところが、糸は塗れた状態だとのびて、乾いた時にキューッと絞まっちゃうんですよね。前のページにかいた「まきまき」で巻き取ると、毛糸と違って抜けなくなってしまうんです。

 

 いちおう工夫はしてみました。たとえば紙でこんな筒をつくってまきまきにとりつけて、ここに糸を巻いて紙ごと抜いたらどうか。

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 やってみましたが、全然ダメでした。紙も湿ってガッツリ絞まって抜けないのです。普通は糸巻きを複数用意してやるんでしょうが、まきまきの芯は 1個しかありません。どうすりゃいいの?

 

 仕方ないので「まきまきに巻き取ったあと、さらに綛にもどし、もう一度まきまきで玉にする」という、自分でもアホかと突っ込みたくなるような作業をして、どうにか玉を 2個作りました。玉→綛→玉とくりかえせば空気にふれて乾き、くっつかなくなるというわけです。

 

 でも、こんなのまだ序の口でした。むしろ苦労したのはよりをかける作業です。なんせお蚕の糸は良く育った状態ならば1000m以上あるらしいです。わたしが育てたお蚕は餌が足りなかったのか綛くり機の回転で計算したところ700mくらいしかなかったのですが、それでも700mですからね。これをスピンドルで地道によりをかけるわけですから時間がかかるのなんのって、結局 3日くらいかかってしまいました。スローライフは根性です。

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 これを、2玉にわけて引き合わせて、最初にかけたよりと逆方向のよりをかけて、最終的にまた精練すれば完成する、はず。七夕のお供えに間に合うか、なんてこと書きましたが、ぜーんぜん間に合いませんでしたー。

*1:ちなみにこの鍋は普段の料理にも使っています。お蚕は毒ではないので(虫が嫌いでないなら)問題はありません。ただし、煮炊きに使った鍋はきれいに洗ったつもりでも食材のアクが残っているかもしれないので、糸の色に影響する可能性があります。可能なら専用の鍋を作ったほうがいいような気はします。

糸をつむぐ

 人はなぜお蚕の世話をするのか。それは糸を取るためです。お蚕が作る繭は絹(きぬ)という糸になります。養蚕をするなら飼うだけでなく、糸を取って、その糸を利用するところまでやりたいものです。

 

 ところが、ここから先が急に難しくなります。わたしは群馬育ちで祖母が養蚕をしていましたが、群馬の養蚕は分業が進んでいて、卵から孵化させる人、飼う人、つむぐ人、染める人、織る人が、全部別なんです。祖母は飼う人でした。どこからか稚蚕を買ってきて、餌をやって繭にするところまでで終わり。あとは農協だかどこだかに出荷してしまいます。そのためわたしは、糸を取る作業を実際には見たことがないんです。資料映像とかは学校やなんかで見せられましたけどね。

 

 それでもやってみたいので、いろいろ頑張りました。なんせ道具からして手に入りにくいものばかり。買えたとしても安くはないので、ありものを利用したり自作したり、わたしゃ原始人か、と思うような状態ですが、それでもなんとかこのくらいの糸だったら取れるようになりました。

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 量が少ないのは実験でちょっぴりだけ作ったからです。本番はもっと大量に作るつもりです。繭20個で引いた糸を2本どりにしてよりをかけて作りました。ちょっと細いので、本場では50個で引いて2本どりにしようかと思っています。今年の繭は50個しかないですが、去年の繭が2〜300個あるので、それを使ってみようかと。

# あ、違う。勘違い。20本で引いたのを、2本どりにしてよりをかけて、それをさらに2本どりにしてるから、最終的には4本どりになってるんだったよ。あいたた、わたしってイイカゲン。 50本でも4本どりにするかどうかは、状況見て考えますわー。

 

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 こんな状態でやりました。ほんとは座繰りという専用の道具を使ったほうが具合がいいのですが普通は手に入れるのが難しいので(…持ってるんですけどね、汗)「まきまき」という毛糸を巻き取るための道具を使っています。

 

○ロイヤル工業 毛糸玉巻き器 まきまき

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価格:2,520円(税込、送料別)

 

 こんなやつです。毛糸用ですが、まあどうにか使えます。名前は「まきまき」です。覚えといてください。

 

 ほかに、鍋を2個用意します。片方の鍋に40度くらいの湯を準備しておいて、もう片方の鍋で繭を煮ます。

 

 繭の煮方も書いておきますが、あくまで現在わたしがやってる方法で、これが最上かどうかはわかりませんので念のため。

 

1. きちんと毳(けば)をとった繭を数分用意する。20個とか50個とか、数はどのくらいの太さの糸を取るかの問題なので、自分で決める。

2. 鍋に湯をわかす。沸騰したら火を弱めて 1 の繭を入れ、落とし蓋をして 3分茹でる。
この時のお湯の温度は70度くらいがいいそうですが、そんなこと言われても温度計がなかったら計れないでしょうから、沸騰させないように弱火で加熱する。

3. コップ1杯の水をさし、火をとめて 1分蒸らす。

4. 強火にして、沸騰させて3分煮る。

5. 火をとめて、1分蒸らす。

 

 ここまでやったら、繭をもう片方の40度のお湯が入った鍋におたまかなんかで移してやります。ちなみに40度というのはお風呂より少しぬるいくらいのお湯です。このとき、繭から糸が出てぐちゃってしてますが、まずは気にしない。全部移す。

 

 繭を茹でるのに使った鍋にお湯が残ってるはずですから、こっちも手をつっこんでも大丈夫なくらいの温度になるまで水をさします。それから、割りばしを一本用意して、鍋のとってにでもくくり付けておいてください。

 

 それから、繭の入ってる鍋に手をつっこんで、ほどけている糸をつかんで引っ張ります。すると、繭がら細い糸が一本ずつ出ているような状態(この時点では完全でなくてよい)になるので、手で持ってる糸を、さっきくくりつけた割りばしにからみつけて、手でつかんでる余分な糸ははさみで切ります(邪魔でなければ割りばしにからませておいてもいいけど)。文字だとわかりにくくて申し訳ないんですが、これやってる間に写真を撮るなんて器用な真似ができないのですみません。次行きます。

 

 繭を1個つまみあげて、その繭から1本糸が出ていて、なおかつ糸がさきほどの割りばしにつながってることを確認したら、隣の鍋(割りばしを結んだほうの鍋)にぽいっと放り込みます。これを全部の繭でやります。繭から数本の糸が出ちゃってる場合は、糸が1本になるまで引っ張ってから、隣の鍋に放り込みます。

 

 全部やったら、空になった鍋は片づけちゃっていいです。そして、割りばしに結びついてる糸を、全部まとめて手に持って「まきまき」にとりつけて、グルグルハンドルをまわすと、最初の写真のような状態になります。

 

 あとは、まきまきのハンドルを回しつづけるだけなのですが、常に鍋の中を見ていてください。繭がお湯の中でくるくる動いている時はいいのですが、沈んでいたり、1個だけはなれて動かなくなっていたら、糸が切れていますから、見つけ次第つかまえて、糸端を出して、まきまきにつながっている糸に合体させてやります。糸にはまだセリシンが残ってますからちょいっとくっつけてなでておくだけで大丈夫。

 

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 上の写真は糸を引いている途中のものです。左上に1個だけ離れて浮いてる繭がありますが、こういうのは糸が切れてますから、糸端をみつけてくっつけてやらなければなりません。糸端はいらない歯ブラシかなんかでこすると出てきますから、最初にやったのと同じように 1本になるまで引っぱってからほかの糸に繋げてください。

 

 それと、写真で鍋のとってに針金をかけてありますが、これは繭が鍋の真ん中に集まるように糸を誘導するために付けてあります。なぜ真ん中がいいかっていうと、やってみればわかりますが、真ん中で動いててくれたほうが、糸が切れた繭をみつけやすいからです。

 

 ただ、写真にあるように、針金を輪にしてしまうと、切れた糸を繋ぐのが面倒になります。試行錯誤中の写真なのでいろいろ問題あってすみません。下の雑な絵のように、V字にしておくのがいいようです。

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 そうして、すべての繭から糸が引けている状態を保つようにします。が、繭の中にはたまにできそこないもいて、何度頑張っても糸が途中で切れちゃうやつもあります。何度やってもだめだーと思ったら、もうあきらめちゃうのも手です。プロの仕事でそれはダメだと思いますが、趣味なので妥協も肝心。ダメな繭はもっとぐたぐたになるまで煮てしまえば真綿にすることはできます。

 

 そうして、どんどん糸を引いていくと、繭が薄くなって、中の蛹が透けて見えるようになります。下の写真は別の種類の繭を引いた時のものなので繭の色が違っててすみません。糸を引く作業は一杯一杯なので資料写真を用意するのも厳しいんです。黄色い繭でやったら黄色くて透けた繭になります。

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 このくらい透けてきたら、もうあきらめて終わりにしていいと思います。繭の厚さには個体差があるし、すべての繭を引き切ることはできないのです。この薄い繭も何かに使えるかもしれません。ぐだぐだに茹でて真綿にするとか、はさみを入れて蛹を出してしまってから、乾燥させてなにかの細工に使うとか。

 

 なお、蛹は食べられますので、お嫌いじゃなければ佃煮にでもしてください。新しい繭からとった蛹は臭いもほとんどなくて美味しいですよ。古いものほど蛹くさいです。

 

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 というわけで、繭から糸を切って終わりにしました。この時、糸端には気をつけてください。巻き取ってしまうとセリシンでくっついて、どこが糸端かわからなくなります。はい、何度も失敗いたしました TдT

 

 なお、巻き取った糸は毛糸と違ってがっつり絞まってますから、機械から抜き取ることはできません。まきまきは巻き取る部分だけはずすことが出来ますので、次の作業でははずして使います。

 

 まだ続きがあるのかって?まだまだこれからです。この程度煮たんじゃセリシンが残っていて、乾いたときごわごわに固まってしまうのです。そこで、もう何度か煮てセリシンを取り除く必要があります。煮るためには、玉になってちゃだめなので綛(かせ)にしてやらないとだめなんです。

 

 というわけで、次に必要になるのは綛を作るための道具です。最初は「まきまき」の姉妹品で「くりくり」という道具が使えないか検討したのですが、残念なことに、あれは綛を作る道具ではなくて、綛をほどいて玉にするための補助器具なので、わざとたわむように作ってあって使えませんでした。

 

 結局、具合のいいものが安く手に入らなかったので、綛くり機はおともだちに手伝ってもらって自作しました。わたしも、ともだちも、木工が得意ではないので、まるで原始人みたいな道具になってしまいましたが、とりあえずどうにか使えています。

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 どうやって作るか説明すると、あまりに細工が酷いことがばれるのでやめておきます。器用な人ならば、もっといいものが作れるでしょうし、本格的にやりたいと思うのならば、買っちゃったほうがいいような気もします。栃木かどこかで養蚕用の道具を売ってる業者さんが通販もやってるはずです。上州座繰りとかで検索すると見つかると思います。いや、別にURLを書きたくないんじゃなくて、見ると欲しくなるので見ないようにしているのですっ(笑)

 

 この自作の道具に糸はしを結びつけて、ぐるぐる巻き取っていきます。「まきまき」から直接だと糸が切れちゃうかもしれなので、必ず巻き取った部分をはずして使ってください。コップみたいな形になってますから、棒の先にでもかぶせて使えば大丈夫。

 

 全部巻き取ったら、糸の束がばらばらになって絡まないように、別の糸(太めの目立つ糸がいい)で数ヶ所をゆるく結んでおきます。この時も糸端を見失うと面倒なので何か目印をつけておくなどしてください。それができたらはずします。

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 綛くり機の自作で問題なのは、巻き取った糸をどうやってはずすかです。わたしたちは糸をかける横棒を固定せず、取り外せるようにしました。

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 綛を作る時の糸端の始末をどうしていいかよくわからないので、巻終わり(次にほどくときはここからほどく)にビーズを通して結んで目印にしてから、巻始めの糸と、巻終わりの糸を結んで、さらにその部分が行方不明にならないように、別の糸でむすんであります。我ながらくどいなーと思うのですが、とにかく糸端が行方不明になることにトラウマがありまして、ついつい万全の備えをしてしまうのです。もしかすると、もののわかった人に聞いたら、もっとスマートで単純な方法があるかもしれません。

 

 次は精練(せいれん)です。糸に残っているセリシンを取りのぞぞく作業ですが、これまたどうやっていいかサッパリわからない(笑)プロは圧力釜でゆでたり、アルカリだか酸だかで処理したり、なんかいろいろするらしいです。しかし、自宅では大掛かりなことはできませんし、要するに茹でればいいんじゃないの?ということで、わたしは茹でては洗い、茹でては洗い、というのを三回くらいやってみました。ちなみに茹でるのは保温調理器(シャトルシェフってやつ)を使ったので、沸騰させて、内釜に入れて数時間放置、っていう感じです。普通の鍋でもできると思いますが、やったことがありませんごめんなさい。

 

 それでどうにか下の写真のようになりました。

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 これは確か、綛の状態で絞って干すとガチガチになるので、一度、まきまきに巻き取ってから(この作業で空気に触れてかなり乾く)、もう一度綛に戻したと思います。よりをかけるなら綛にもどす必要はなかったのですが、もう一度煮るかどうか迷ってたので、なんとなくしてみました。写真をよく見るとわかりますが、途中に折れたような跡がありますね。綛くり機にかかってた跡なのです。こんな跡がついちゃうくらい、まだセリシンが残ってます。

 

 これを 2束作って、よりをかけてからまた精練してみようかな、と思ってるところで疲れてきたので今日はおしまい。

 

 そういえばもうすぐ新暦の七夕ですね。初めての糸が七夕のお供えに間に合うといいですけど。

 

今週のお題「七夕」